ミスター、それは何かしらの括りの中で象徴的な存在の人物に与えられる称号です。
今までずっと、過去の事例からしか考えられない人に閉口して、あえていわなかったのですが、彼こそまさしくミスターと呼ぶべき存在だったと思う。
彼の名は赤星憲広。阪神タイガース所属、背番号53。この度引退することになった、あの赤星こそ、ミスタータイガースだったと思う。
ミスタータイガースといえば、阪神タイガースの歌の歌詞にある通り、歴戦の鉄腕強打の選手に与えられてきた称号ですが、今までミスタータイガースと呼ばれてきた名選手と赤星は決定的にタイプが違う。
だからなのか、金本は幾度かミスタータイガースと呼んでいいんじゃないかという話題を耳にしたけど、赤星こそ五代目ミスタータイガースに相応しいという声はまったく聞くことがなかった。
しかしアタシの考えは違う。ずっと、赤星こそミスタータイガースだと。
理由は簡単です。2000年代に入ってから、阪神はずっと「赤星のチーム」だった。「赤星のチーム」というのは赤星ありきのチーム、赤星がいなければ戦術がまったく成り立たない、そういう意味です。
長らくの暗黒時代を抜け出した阪神は、2003年になってセントラル・リーグの優勝を飾ることになります。
FAで金本を獲得、またメジャー帰りの伊良部、そしてトレードで下柳を獲得したことも、もちろん大きかった。
しかし、もしあのメンバーの中に赤星がいなければどうなっていたか、ただの想像でしかないけど、優勝までは届かなかったのではないかという気がする。それほど当時の阪神の野球の中核を担っていたと言っても過言ではありません。
赤星が阪神に入ったことで、阪神の野球は大きく様変わりしました。というか走攻守、すべてにおいて阪神にとって赤星の存在は突出していた。
過去にミスタータイガースと呼ばれた選手はけしてチームリーダーとしての資質は高くないというケースが多かったのですが、赤星は違う。チームリーダーとしての資質も非常に高かった。
そしてこんなに負けん気の強い選手は、それまで阪神にはいなかった。ここが阪神を優勝に導いた最大のポイントだと思っているわけで。
生え抜きであり、打撃成績も、もちろん盗塁も、そして守備も文句なしで、さらに名実とものチームリーダーであった赤星憲広。
いったい彼をミスタータイガースと呼ぶことに何の問題があるというのだろうか、どうもアタシにはわからない。
正直引退についてあれこれいうのは野暮であり、悪者探しをしても何もならないのはわかっています。だからあれこれいうのは違うんじゃないかという気もするけど、これだけはいわせてほしい。
誰ひとり認めなくても、アタシの中では五代目ミスタータイガースは赤星憲広である、と。

