♪ A地点からァB地点までェ行くあァいだにィ
  すでに恋をしてたんですゥ
  恋の相手はァどんな方ですゥ
  つぶらなァ瞳ッ まさに一目惚れなんですゥ
  その人の名はァ その人の名はァ その人の名はァ

 お、お、お、おさむちゃんでぇぇぇえすッ!

 ♪ 潮来ッのォ伊ィ太ろォォ

 ♪ 霧ッひょおォォォ

 アリィ!?



 ・・・あきらかに狂ったようにしか思えないかもしれませんが、アタシは正常です。
 っても、これから「ザ・ぼんち」のことを書いていこうってんじゃない。いやアタシは「ダディ・クール」、もとい「恋のぼんちシート」をソラで歌えるくらいなんだけど、それはそれです。
 とにかくザ・ぼんちの最大のギャグフレーズは「アフタヌーンショー」の川崎敬三と山本耕一のやり取りのパロディでしょう。


 しかしこれ、けしてモノマネじゃないんですよ。というか一切似せようとすらしていない。でも「恋のぼんちシート」でもそのネタがまるまる歌詞になったように、ま、ぼんちと言えばコレなんじゃないかと。
 中でも有名なフレーズが「そうなんですよ川崎さん」でして、もちろん「川崎さん」とは川崎敬三を指します。

 というわけで今回のお題は「湘南」と「川崎」です。
 このふたつを対比でやれば面白いと思ってたら、「湘南ですよ川崎さん」というタイトルを思いついた。それを説明するために、冒頭に「ザ・ぼんちギャグヒットパレード」を書いたわけで。
 え?ザ・ぼんちと湘南や川崎は関係なさすぎる?いやいや、ぼんちおさむの海好き、加山雄三好きは有名だから!ユー・メイ・ドリームだから!!←無理矢理

 それでは始めてまいりますが、湘南のイメージを最初に決定付けたのは間違いなく加山雄三です。サザンオールスターズでさえ、加山雄三に比べればフォロワーと言えるわけでして、加山雄三なくして湘南の、あの「爽やかな」イメージはなかったと言えると思うんですよ。


 加山雄三は生まれた時点で「湘南っ子」でした。何しろ父親の上原謙と母親の小桜葉子が結婚して、新居を構えたのが茅ヶ崎だったんだからね。
 アタシは加山雄三の2学年か3学年下の同窓生の方と話したことがあり、その人は子供の頃、加山雄三宅に何度か遊びに行ったことがあるらしい。ま、その時点では加山雄三宅ではなく上原謙宅だけど。

 当時、松竹の二枚目大スターだった上原謙のお宅はとにかく大豪邸だったらしく、大きなプールもあったと言います。
 あと、とにかく小桜葉子がとてつもなくキレイだったと。ま、小桜葉子の説明は大変なんで止めるけど、子役から松竹の美人スターになった人で、その辺の庶民の女性と比べるレベルにもなかったとか。ま、そりゃそうだよなぁ。


 んで、重複になるけど、二枚目スターの上原謙と美人スターの小桜葉子が結婚して子供が生まれた。もちろんこれが加山雄三です。
 さらに元を辿れば、小桜葉子の曾祖父はあの岩倉具視で、そう、だいぶ昔だけど、500円札の肖像にも使われた岩倉具視。
 つまり加山雄三は「サラブレッド中のサラブレッド」なのでありまして。

 ただし加山雄三の人生はずっとサラブレッドだったわけじゃない。
 1970年代に入ると憑き物が落ちたかのように、小桜葉子が急死、そして上原謙と加山雄三が共同経営をしていた会社が倒産し、1970年代の加山雄三はこの借金返済のために体調の悪さをおしながら馬車馬のように働かなくてはいけなくなります。
 上原謙と加山雄三が経営していた会社、と言うとわかりづらいけど、要するにパシフィックパーク茅ヶ崎のことです。
 134号線沿いにあった、1965年開業にしては画期的なほどの複合リゾート施設で、まさに上原加山親子の<夢>の結実だったと思う。


 しかし、倒産を期に人手に渡った。もう上原謙も加山雄三も関係なくなり、何とか再建を目指しますが上手くいかず、最末期には廃墟状態のまま放置されていたのです。

 アタシが初めて湘南に移り住んだ1995年、この廃墟は健在でした。
 廃墟が健在ってのもおかしいけど、前を通るたびに「これがあの、夢の跡、か」と感嘆した。
 この頃アタシは音楽をやっており、平塚の七夕まつりをテーマにした曲で歌詞に<夢の跡>と謳い込んでいます。

♪ 虹ケ浜を先頭にこの先渋滞7キロ
  右手にはこの街に不似合いの巨大な夢の跡~


 まァね、平塚に在住してる人ならわかるだろうけど、虹ケ浜(134号線の交差点)は渋滞ポイントでもなんでもないのですが、語呂と<虹>が入るってのが気に入ってそうしたんです。
 こんな駄文ならぬ駄歌詞はともかく、パシフィックパーク茅ヶ崎はその特異性もあっていろんな楽曲に登場しています。
 中でも有名なのがサザンオールスターズの「HOTEL PACIFIC」でしょう。


 桑田佳祐は実際にこのホテルでアルバイトをしたことがあるそうで、いろんな思いが感じ取れる名曲です。
 というかね、あたらめて思うことだけど、こんな、ある種の「負の遺産」まで、後年になって鮮やかに、そしてどこかお洒落に昇華されるってのは、本当に湘南という街の特色だと思う。
 湘南はけして柄の良い街じゃない。「湘南爆走族」なんて漫画もあったし、アタシも片瀬(江ノ島の近く)に住んだ時は暴走族の爆音にほとほと迷惑していた。さらに言えば藤沢出身の中居正広が「やたらヤンキーファッションを好む」というのも、湘南がお洒落なだけの街ではない証拠だと思う。
 だけれども、たんにお洒落だけじゃなしに、資産に左右されない、本当に優雅な人たちが住む街、というイメージは消えない。
 本物のブルジョアが住む街じゃない。柄が良いわけでもない。お洒落一辺倒かと言えば江ノ島の島内を見てもわかるようにけしてそうは言えない。
 それでも、いい意味で落ち着きがある、いい意味でお洒落だけどいい意味でお洒落すぎない、そういうのがね、湘南を好む文化人が多い理由だと思うわけで。


 同じ神奈川県にありながら、湘南とはまったく真逆のイメージがあるのが川崎です。


 川崎だけはどこまで行ってもお洒落になれない。アタシは「東の川崎、西の尼崎」と思ってるんだけど、尼崎もいろいろは変わってるんですよ。とくにJR尼崎近辺はキリンのビール工場をぶっ潰してキューズモールが出来たり、ひと頃の怖さのようなものは急速に失われていってはいってる。
 実際尼崎だって、わりとイメージが良い武庫之荘も尼崎だけど、やっぱり、尼崎イコール柄が悪い、という先入観がね、長く関西に住む人ほど抜けないと思うんです。
 川崎もそうなんですよ。それこそ武蔵小杉だって川崎だけど、その武蔵小杉にしたところで結局悪い意味で話題になっちゃったし、やっぱどこまで行っても川崎は川崎だな、と思ってしまう。

 アタシ個人にとって一番最初の川崎のイメージは川崎球場で、次が「男女7人秋物語」です。
 川崎球場と言えば流しそうめんが出来るほどガラガラ、というイメージになっちゃったけど、それはロッテオリオンズ(現在の千葉ロッテマリーンズ)が本拠地に使うようになってからで、やはりアタシは大洋ホエールズ(現在の横浜DeNAベイスターズ)のイメージが強い。
 とにかくテレビ越しでもわかるくらい、汚くて暗い球場で、客層が悪い悪いと言われた甲子園や日生球場よりもはるかに客層が悪く思えた。
 それを払拭しよう、という意図はなかったと思うけど、徹底的にお洒落に徹した「男女7人夏物語」の続編、つまり「男女7人秋物語」の舞台として川崎が選ばれたのです。

 「男女7人秋物語」は当時出来たばかりのチネチッタや地下街の川崎アゼリで丹念にロケをしていますが、ちなみに両方とも現存しており、もう店舗は大幅に変わったけど、良介と桃子が言い合いをした階段などは当時のまま健在です。


 川崎アゼリアのオープンは1986年。つまり「男女7人秋物語」が放送される前年で、ひかる(岡安由美子)と波子(麻生祐未)が勤めるチネチッタの開業が1987年だから、ともに当時は川崎の最新スポットだったということになります。
 しかし、逆にいえば川崎のステレオタイプ的イメージである柄のよろしくない場所、具体的には銀柳街からその東側にかけては徹底的に排除してあるのも特徴で、ほんと、道一本隔てると、一気に街のムードが変わる。それは今でも何も変わってない。


 ただね、神奈川県に居住してみて感じたのは、川崎ほど便利な街はないんですよ。ホント、何でもある。
 「ネットで調べたり、東京のいろんな街を調べ歩くより川崎にきた方が話が早い」って言われるくらいだし。言ってんのアタシだけだけど。
 パソコン関係でいえば、ビックとヨドバシの両方があるし、小さいとはいえ一応ドスパラとかじゃんぱらとかもある。
 ファッション関係でいえば、よそ行き用の店も普段着用の店も揃ってる。
 飲食店は、ちゃんとした食い物屋はほとんどないけど、全国チェーン店は全部あるんじゃないかと思えるほどだから、軽く昼飯を食うくらいならまったく困らない。
 100均もダイソー、キャンドゥ、セリア、シルクと揃ってるし、ブックオフもあるし、大型書店も複数ある。
 食料品だってそこそこ高級なものから相当安い店まで一通り揃ってるし。駅からはかなり遠いとはいえコストコもある。
 あと工具・素材関係もね、ホームセンターまであるのが凄い。
 ホームセンターなんて大抵駅から遠く離れた、クルマで行くような場所にしかないからね。クルマがない時は本当にここのホームセンターの世話になりました。
 ビックとヨドバシは素材関係も兼ねるわけだから、これは本当に無敵なのです。
 ここまで揃ってるのは川崎だけですよ。渋谷や新宿だってこうはいかない。秋葉原や中野や神保町はピンポイントでは強すぎるくらい強いけど、なんでも揃うってわけじゃないし。
 だからアタシは「川崎最強伝説」を唱えるわけです。

 運が良ければラゾーナで芸能人がイベントやってるし。全然知らないアイドルとかバンドもだけど、そこそこ有名人も来るしね。岩崎宏美もここで見たし。「川崎で岩崎宏美を見る」というのは「男女7人秋物語」的には非常に嬉しかったりするのです。


 そう、川崎って実はかなりいい街なんです。それこそ、先ほど書いた「西の尼崎」や湘南のどの街(藤沢や茅ヶ崎など)も、間違っても「何でもある」って感じじゃないけど、川崎は何でもあるし、行動範囲を駅周辺に絞ればそこまで柄の悪さは感じない。
 ただし「柄の悪さは感じない」=ムードが良い、とは違う。湘南が文化人に愛された街だと書いたけど、川崎にはそういったムードは微塵もない。
 なるほど、たしかに藤子・F・不二雄が生前暮らしたのは川崎ですが、川崎ったって川崎駅前とはまったく生活圏が違うし、岡本太郎美術館なんかもあるけど、実際に行けばわかりますがいくらなんでも川崎駅からは遠すぎる。

 すこぶる便利だけど文化とかムードはまるでない川崎と、何があるわけじゃないけどムードとイメージだけはとにかく良い湘南。
 アタシはね、このふたつの街が神奈川県の両輪だと思っているのですよ。
 このエントリはどちらが優れてるか決める類いのものではないのですが、あくまで個人的に思うのは「便利さ最優先なら川崎、ムード最優先なら湘南に住め。横浜はいろんな意味で中途半端」と言いたい。
 普通は神奈川県と言えば横浜ですが、横浜も住んだことがあるけど、横浜なんて本当に何もない。というか、横浜って実際住むとなると結構難しいんですよ。

 イメージだけで言えば横浜なんて湘南を凌ぐレベルの最強クラスだけど、住むには適さないというか、いろいろと「いわくつき」の場所が多すぎる。具体的に書くと問題がありそうなんで地名は出しませんが「異様にヤバいところ」とか「どうしようもなく空気が淀んでいるところ」とか「移動がバスに限られるところ」とか「坂地獄」とか、そういう場所が点在していて、しかも実際に住み始めるまで気づかなかったりする。
 個人的には大倉山のあたりは利便性もムードも、まァオススメ出来るけど、あとはちょっと、と思ってしまう。
 ならば利便性全振りで川崎か、ムード全振りで湘南にした方が絶対にいいと思うし。
 いや最強に中途半端なのは、まあ、もういいか。

 ま、ディスったふうに終わるのも感じ悪いのでポジティブに締めますが、湘南と川崎、イメージ的には真逆だけど、アタシにとっては両方とも最強クラスに好きな街です。
 いやもちろん東京は大好きだけど、家賃の高さとかクルマに乗りたいとか、そういう現実を見たら結局このふたつの街が「関東居住の最有力候補」になるのはやむを得ないっつーかさ。



何だかまとまったような、煮えきらないようなエントリですが、こういう「比較じゃなくて、結局はどっちも良い」って結論になる話って締めようがないんですよ。
で、最後、どうしても敵対勢力が欲しくなって横浜をディスるみたいになっちゃったけども、横浜だって都合5年ほどは住んでたことがあるので、本当は嫌いでもなんでもない。
ただね、横浜と神戸は似てるって言われることにだけは反論したい。神戸生まれのアタシが言うんだから信じていただきたい。
でも、これまた「どっちが上」とかそういうんじゃなくて、そもそも空気感がぜんぜん違う。いや実際、横浜に住んでて「神戸と似てる」なんて一度たりとも思ったことがないもん。
というかさ、神戸に似てるのは、ああ、もう、長くなるから止めておくわ。


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