さて、これから書くことはギリギリまで書くかどうか迷ったことで、というのもどうしても元資料を発見出来なかったからです。

 アタシがずっと探し求めている資料とは、おそらく1998年から2000年頃に発行された雑誌で、もしお持ちの方がおられたら是非連絡をいただきたいのですが、とにかくその雑誌には異例とも言える石橋貴明のロングインタビューが掲載されていました。
 この雑誌を探し求めるために古書街である神保町にも何度も行ったし、国会図書館でも散々探した。もちろんインターネットで検索しまくった(しかも数年にわたって)のは言うまでもありません。
 しかし何しろ雑誌名もわからない状態で、探しようも難しく、今回諦めてこういった一文を書くことにしたのですが、自分でもものすごくモヤってるわけで。

 とにかくです。
 ここからはアタシが記憶している限り、この時の石橋貴明がインタビューで語っていたことを書いていこうと思う。もちろん記憶違いはあるんだろうけど、そう大きくは間違ってないと思うので、まァ勘弁してください。
 まずは「ラスタとんねるず」について語ったところです。
 正確には「ラスタとんねるず‘94」ですが、この番組で行なわれた「ジャイアント将棋」は各格闘家をバラエティ番組に引っ張り出したこと、そして本職である格闘技と関係あることをさせたことで後世に残る企画になったわけで、おそらく憶えておられる方も多いはずです。


 しかし番組全体としては非常に風刺色が強いもので、パペットを使った政治風刺は「内輪ノリだけで楽しんでるだけ」というとんねるずのイメージを180度覆すものだったと思う。


 アタシが読んだインタビューの時点で「ラスタとんねるず」の終了から5年ほど経っていましたが、何とか復活して欲しい、という声が大きい、というような話をした上で「本当は「ラスタとんねるず」のような風刺バラエティと「みなさんのおかげ」のようなコント番組を半年ごとに交互でやるのが一番望ましい」みたいなことを言ってて。
 もうこれだけで石橋貴明の企画センスがわかる。
 「ラスタとんねるず」はゼネラルプロデューサーこそ「みなさんのおかげ」同様石田弘(ダーイシ)でしたが、他は「みなさんのおかげ」とはスタッフを総取っ替えして作っており、つまり番組のカラーがぜんぜん違う。
 そうした振れ幅の大きなことをやっていった方が良いんじゃないか、というようなことを語っていたのです。
 これは実にアタマの良いやり方なんだけど、残念なことにいろんな事情から「ラスタとんねるず」は復活せず、「みなさんのおかげ」に「ラスタとんねるず」要素を取り込むことになるのですが、最終的に「みなさんのおかげ」からコントが消滅してしまう、ということになってしまった。
 もし「ラスタとんねるず」が復活していれば、というか石橋貴明の構想通りになっていれば「みなさんのおかげ」はコント番組であり続けたかと思うと非常にもったいない話です。

 もうひとつは木梨憲武について語っているところです。
 これにかんしてはこのインタビューに限らずいろんなところで語っているのですが「憲武はすごい。今、東西通じてナンバーワンじゃないか」というような話です。
 しかし重要なのはこの後に続いて「オレ?何にも出来ない。よく今までバレずにやってこれたなって」みたいに言ってたんですよ。
 石橋貴明が誰よりも木梨憲武を評価しているってのも重要なのですが、それよりも自身の評価がきわめて辛い方が重要でね。
 石橋貴明は若い頃から散々「お前は本当に不器用だなぁ」と言われ続けたと言います。
 相方である木梨憲武が本当に何でもコナせる器用の塊のような人なので、おそらく若い時分は木梨憲武にたいして相当な嫉妬心があったように思う。世間的にはとんねるずの<顔>は石橋貴明だけど、本当に能力が高いのは木梨憲武だ、と。そして「世間にはバレてない」だけで、心あるスタッフはみんな「木梨憲武>>>石橋貴明」だとわかってる、と勘付いていたんだと思う。

 たぶんいろいろあった末に、つまり葛藤を経たことでこうした自虐的の言葉を吐けるようになったと思うのですが、石橋貴明のプロデューサー的能力ってのは言い換えれば「冷静に<とんねるず>というコンビや世間の風を見ることが出来た」から生じたものです。
 でもある時から、これはこれでいい、と思い始めたんじゃないか。散々週刊誌で「石橋貴明が天狗になってる」と叩かれればそれを利用して「日本一の天狗男」というコントをやったりね、そうか、オレは増長していると思われてるんだ。だったらもっと「石橋貴明は増長している!」というイメージを植え付けてやれ!となったんじゃないか。
 石橋貴明ほど増長とはほど遠い人はいない。むしろコンプレックスが強く、いろんなことを冷静に見れる分、己のいたらなさを誰よりもわかっていたと思う。

 たしかに石橋貴明は背が高いというかガタイも良いので一見威圧的に見える。また芸風自体が矢沢永吉の芸風を<笑い>方向に塗り染め直したようなものなので、なおさら、今の言い方ならパワハラ的っぽい。さらに進んで「高卒」を売りにしていたし、帝京高校=馬鹿、というイメージも売りにしていました。
 しかしここまで読んでもらえればわかるように、実は石橋貴明は先読み能力が高いインテリジェンスの強い人で、たぶんこの人の<地>はコンビ名の由来ともなった「暗い人」なんだと思う。
 暗い、インテリジェンスが強い人が<芸>として扇動的な芸風をやる。つかたぶんそれは根が暗いから、つまり「本来の自分とは真逆だから」出来たと思うのですが、世間はパワハラ気質を石橋貴明の本当の性格と思い込む。
 誰しもが認める不器用な人間である石橋貴明が、天才的器用さのある木梨憲武と同等の芸を見せるために、おそらく人知れず、とんでもない努力をしたことは間違いない。
 とくにダンスにかんしては相当苦労したのは間違いなく、今もやってる「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」での「リアル野球盤」を見れば、ただ不器用なだけでなく努力ではどうしようもない「身体の硬さ」が丸わかりです。


 初期の「みなさんのおかげ」でやってたMVパロディのダンスなど、今の目で冷静になって見れば「あの不器用で身体の硬い石橋貴明がここまでやるなんて、いったいどれだけの練習を積んだんだ」と思ってしまいます。


 要するにです。
 石橋貴明はオフィシャルイメージとはほど遠い、暗くて、頭が良くて、真面目な努力の人なんです。だからとんねるずがあそこまでになることが出来た。
 でも、ですよ。アタシがすごいな、と思うのは、いまだに石橋貴明について「パワハラ気質」なんて思い込んでる人の多さで、つまりまだ勘付かれていない。2000年前後の時点で「よくバレずに」なんて言ってたけど、あれから四半世紀経っても「まだバレてない」って、これは本当にすごいことなんです。
 変な話、石橋貴明がパワハラ気質なんて言われているうちは、チャンスさえあればとんねるずはいつでも第一線にカムバック出来る。「今の時代パワハラ気質の芸風は合わない」とか関係ない。問題はパワハラ気質云々ではなく「石橋貴明の世間を欺く力」なんだから。

 つまりですよ、アタシもこんなことを書いてるけど、まだ石橋貴明に欺かれているのかもしれない。んで「石橋貴明が本当に考えてるのは何か」ってのに気を取られてると、アタシの気づかないところで木梨憲武がとんでもないことをやらかしてるはずです。
 もうデビューしてから半世紀経ってるんですよ。でもまだぜんぜん、とんねるず、というコンビ、というよりはチームの得体の知れなさは変わってないんですよねぇ。






一回ね、とんねるずという<チーム>についてちゃんと書きたかったんだけど、あれだけ繰り返し<笑い>について書いてた2004~2006年頃でさえ、とんねるずについては書けなかった。
何で書けないか、それは彼らの<笑い>がわかるわからない以前に、そもそも彼らが何者なのかまったく判然としなかったからです。
アタシは「オールナイトフジ」こそ見れなかったものの「夕やけニャンニャン」はずっと見てたし「みなさんのおかげ」も特番時代から見てた。あと「時間ですよふたたび」や「お坊っチャマにはわかるまい!」などの「とんねるずの出てる」ドラマも見てきた人間です。
でも、本当、とんねるずついては、分析はおろかただの説明であっても、何も思いつかない。そういう存在だったわけで、だったらいっそ開き直って、とんねるずというのはこれだけ得体の知れない存在なんだよってふうにすれば書けるかな、と思ったわけで。
本文中にもあるように、唯一の心残りは石橋貴明のロングインタビューが掲載された雑誌を発見出来なかったことですが、もし発見出来た暁には補足するつもりではいます。ま、いつになるかはわからないけど。


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