何度か書いたことがあるのですが、アタシはね、最新MVで「ついに顔見せ!」と話題になってるAdoについて、基本的には「天才」だと思ってる。ま、天才ったっていろいろあるけど、つまりは天才ヴォーカリストだと。
なんかね、インターネット上では、いったいどこの誰と比べてるのか知らないけど、Adoについて「ちょっと上手い程度」「下手ではないってレベル」なんてのたまう酢豆腐野郎がいるのはたしかなんですが、マジでとんでもない話です。
アタシはけして音楽通でもなんでもないけど、少なくとも日本人ヴォーカリストについてはいろいろと聴いてきた自負はあり、Adoほどの歌唱力のある人はほとんどいない。皆無ではない、というレベルの話で、あれを「たいしたことがない」と言うなら、じゃあたいしたことあるヴォーカリストの名前を挙げてみろ、と言いたくなる。
というかね、アタシは安易に<天才>なんて言葉は使いたくないんですよ。
つか天才なんて呼べるのは本当にひと握りしかいないと思ってるし、それこそただ上手いだけでは天才とは呼べない。
でもAdoはそれを超越している。あの子は本当に上手いです。もう、比類出来るっつーか、日本人女性ヴォーカリストで言えば美空ひばりと弘田三枝子に肩を並べる。
つまりね、アタシの中で、エントリタイトルの3人、美空ひばり、弘田三枝子、Adoは本当に突出した「上手いヴォーカリスト」なんですよ。
じゃあね、日本人女性ヴォーカリストで好きなのはこの3人なのか、と言われると「違う」としか言いようがない。唯一弘田三枝子だけは、まァ、好きの範疇に入れてもいいのかもしれないけど、美空ひばりとAdoは別に好きでもなんでもない。弘田三枝子にしたところで「人形の家」以前の、ポップスのカバーをしてた頃までです。
つまりです。「歌が上手い」と「好き」とはまったく別次元の話なんです。というかアタシは「上手い」という理由で芸能人を好きになったりはしない。
前に「戸川純は下手」とポストしたら変なのに絡まれたことがあるからあんまり書きたくないけど、戸川純なんか「下手だけど好きなヴォーカリスト」であり、言い方を変えれば天才的に上手い美空ひばりやAdoよりも下手な戸川純の方が圧倒的に好きなんです。
と言うか芸能というのは基本的に全部<コレ>で、これまた以前書いたけど、アタシが植木等を敬愛してるのは「植木等が一番芸達者だから」じゃない。それこそ芸の抽斗ならフランキー堺の足元にも及ばない。
芸能人を好きになるってのはそういうことじゃないんですよ。だからこそ未熟な芸しかなくても好きになる芸能人なんかいくらでもいる。つかそこにフォーカスさせたのがアイドルですから。
でもさ、フランキー堺もだし美空ひばりもそう。どれだけ芸達者でも、どれだけ歌が上手くても、すごいな、と思いつつ、とくに「好き」という感情が芽生えない、なんてことは往々にしてあることで。
美空ひばりについてはココにしっかり書きましたが、その中からちょっとだけ引用しておきます。
聴くたびにやっぱ上手ぇよなぁと思うんだけど、それは一曲だけ聴いた時の話。何曲も続けてっつーかアルバム単位でまとめて聴くとモタれてくる。というか美空ひばりって一曲にすべてを詰め込んでくるというか、10曲聴いたら「10本分の映画を続けて観させられた」みたいな感覚に近いんです
もうこれにアタシの言いたいことが集約されてる。
美空ひばりだけじゃない。弘田三枝子もそう。Adoもそう。ココで書いたジェニファー・ハドソンもそう。あまりにも突出して上手い人って、強いインパクトがずーっと続くから、聴いててとにかくめちゃくちゃ疲れるんですよ。
いやこの際上手い下手は関係ない。美空ひばりのように異様に上手くても、戦前期におけるタアキイのように異様に下手でも、ヴォーカルの<アク>が前面に出過ぎて<音楽>として入ってこないっつーか。
ある意味この対局と思うのが太田裕美で、こんなにアクがない=聴き疲れのしないヴォーカルもそうない。
んで「トータルでは文句なしに上手いけど意外と聴き疲れしない」人もいて、それこそアレサ・フランクリンもだし、意外と笠置シズ子もそうだったりする。
もちろん中には「たいして上手くないけど、やたら<アク>が強くて聴き疲れる」なんて人までいる。名前を出して申し訳ないけど、んでせっかくここまで女性ヴォーカリストに限定してきたのに男性になっちゃうけど、ディック・ミネとかね。
だからね、上手い女性ヴォーカリスト三選なら美空ひばり、弘田三枝子、Adoは妥当だけど、同時に「聴き疲れする女性ヴォーカリスト三選」とも言えるわけで、Adoにかんして言えば、一曲聴くだけなら「上手いな」で済むけど、間違ってもまとめて、それこそアルバム単位で聴きたいとは思わない、そういう存在です。
でもそれはけして悪いことじゃない。つか聴き<疲れ>するってこと自体、アタシがジジイで体力がなくなってる話でもあるんだから。
それはしょうがないというか、やっぱ年齢によって「聴く」というよりは「聴きたい」音楽は変わるもんだと思うしね。
となるとわからないのが演歌で、演歌なんかヴォーカル以前に「聴き疲れする代表」みたいなサウンドなんだよな。だからますますトシをとって演歌なんか聴きたくないと思うっつーか。
