-いちげんさんお断り
残念ながらアタシ自身、「いちげんさん」という理由でお断りされたことはないし、というよりは「いちげんさんお断り」と謳うような格式張った店に行ったことがないだけとも言えるんだけど。
しかしそういう店は確実に存在するらしく、とくに京都あたりでは珍しくもない話でしょう。
もし、アタシが、何も知らずにそうした店に入店しようとして、やんわり、あくまでやんわりと、お断りされたとしましょう。
それで腹が立つのかというと、とくには立たない。仮に注意書きのようなものがなかったとしても「ああ、そういう店なんだ。失敬失敬」と思うくらいで済むだろうし、そんなことより、他にいい店はないのか、とすぐに頭が切り替わる気がする。
もちろん「いちげんさんお断り」という「しきたり」を決めたのはその店であり、その店を利用しようとするからには「しきたり」に従うべきなのは当たり前です。もしその「しきたり」に不満があるのなら行かない、もしくは店主と話し合いをして、問題を解決してから再び訪れるのが筋です。
これはしきたりもルールも法律も一緒で、その法律はおかしい→だから守らなくても構わない、というのは間違ってる。法律がおかしいと思うなら何らかの手段で法律を変えることから始めるべきです。
ま、そこまで大仰なことが言いたいわけではないんだけど、たしかにリアルに存在する店ならば、その場のルールに従うべきなのは当然です。
しかし、これがインターネットとなると話が変わってくる。とくにこれがSNSなどの場合は変わらざるを得ない。
2000年代半ばくらいに「mixi」というSNSが猛烈に流行ったことがあった。
mixiには「足あと機能」というものがあり、どのユーザーが自分のページに訪れたかが把握できるようになっていたのですが、そこで、どこぞの誰かがこんなことを言い始めた。
「読み逃げ禁止」
つまり、自分のページに訪れたからには挨拶していけ、ということらしい。面白かったから挨拶していけ、というのなら百歩譲って理解できるんだけど、その人のページに<ただ>訪れただけで(もちろんうっかり操作ミスでリンクを踏んでしまったとしても)挨拶を強要するのです。
そしてこの「読み逃げ禁止」を掲げる人が多くなりすぎて、やがて「読み逃げ禁止」はmixiの文化になってしまった。
アタシはこれで、気軽に他人のページを見ようという気が著しく削がれたことが何度もあった。
先日「自分ルールを押してつけてくる人」について書いたけど、こちらに何の了承を得ようとせずに、どこぞの馬の骨がわからない(建前ではmixiは実名推奨だったけど、実態はハンドルネームが大半だった)第三者の自分ルールに何故従わなければいけないのだろう。
いやそれも譲ろう。問題はそうした文化を「運営側がルール化しているわけでもなんでもない」ことなんです。
「偶然訪れることがあり得る」インターネットサイトの場合、mixiの読み逃げ禁止の文化も、Twitterで言えばリプライなど非常識だから引用リツイートでやれ、とか、どれも「いちユーザーが勝手に始めたこと」に過ぎない。つまり、運営は何の規制もマナー化もルール化もしていない。
店舗で言えば店側は誰でもウエルカムなのに他の客から「おい、ここ初めてか?誰かに紹介されてもないんだったら帰れ!」と言われているに近い。
他の人たちも、そしてアタシも、どちらも同じ「ただのユーザー」でしかないのです。
それを「実名でやれよ。匿名なんて卑怯」とか、もしくはその反対とか、勝手にしきたりを作って、自分にとって気に入らない人間を排除しようとする。
まったく、何様だ、としか言いようがない。同じ客の分際で。テメエのルールとか知ったこっちゃないわ。
まあ「客が勝手にしきたりを作ってはいけない」という当たり前の「しきたり」がわかってないだけなんだろうけど。

