何だか異常に長ったらしいエントリタイトルですが、これが今の、じゃねえな。ちょっと前の流行りでしたからね。本文は短く、タイトルはアホほど長く、という。
 ま、このエントリは本文も長いんだけど。

 さて、アタシは2020年の夏に延べ2ヶ月にわたって出張で京都に滞在しておりました。
 何しろ京都と言えば観光地云々の前に<盆地>であるわけで、とにかく冬は寒くて夏は暑い。しかもこの年の夏は異常とも思える暑さで、おまけにコロナの影響でマスクの常時着用が求められていたわけです。
 思えばあんな苦しいこともなかった。仕事自体はそこまで大変ってわけじゃなかったんだけど、あの暑さですべてがチャラになったっつーね。
 もちろん、それでも休みはあるのですが、これだけ暑いと観光なんて行こうと思わない。食事もそこそこにホテルで日がなエアコンガンガン状態で過ごすしかなかったんです。

 いや、仮にどれだけ暑かったとしてもね、アタシの趣味趣向がぜんぜん違っていたら、暑さを振り切ってでも観光というか各地に足を運んだと思うんです。つまり、結局外出する気にすらならなかったのは、京都の名所旧跡にはほとんど関心がないからなんじゃないかと。

 京都で生まれ育った人にとって、東京など昨日今日出来た、いわば新興の街というイメージがある、とはよく言われています。つまりは、それだけ京都の歴史は古い。
 しかしね、京都はあまりにも歴史的建造物が多いがために、近代以降の開発が進まなかった。だから近代的な街並みとはほど遠く、四条河原町近辺と言っても正直たいしたことはないんです。
 もちろんそれを否定する気はまったくない。しかしアタシは近代以前、つまり江戸時代より昔のことにはとんと興味がないんですよ。


 そんなアタシでさえ、京都の街並みをクルマで走ってると知ってる地名にブチ当たる。
 お、五条か。ここで弁慶と義経がやりあったのか、とか、壬生?壬生と言えば鞍馬天狗だな、とかね。とにかくそんな場所は山のようにある。
 あとは池田屋とかもそうだし、八坂さんとかもそうですよね。いや清水寺とか二条城、金閣寺なんかも当然名前を見るだけで、おっ、と思うのですが、そこで止まってしまうのです。
 つまり、それだけアタシは江戸時代以前の歴史に関心が薄いってことになるわけでして。
(どうでもいいけど鞍馬天狗は歴史は関係ないけどさ。ただのフィクションだし)

 本屋なんかに行くと、江戸時代以前の歴史書、いや歴史書なんて大仰なもんじゃなくても、ムック本レベルのものさえ、どれだけあるんだってくらいあります。
 厳密には歴史書ではないけど、<城>関係のものがあれだけ定期的に刊行されているところをみるに、やはりそれだけ売れている、もっと言えばそれだけ興味がある人が多い証拠でしょう。

 しかしアタシはその手の本を一度も手に取ったことがない。購入するか迷う以前の話です。
 この江戸時代以前に興味がないってのは徹底していて、学校でも歴史の時間なんて退屈なだけだった。
 ところがね、歴史の授業で盛り上がるのは戦国時代のことと幕末のことなんです。とにかく生徒(小学校だから児童か)の、とくに男子の食いつきが違う。
 で、アタシはというと「何でみんな、そんなに乗り出すような感じなの?そんな面白い?」みたいな感じでね。

 たしかに戦国時代や幕末は歴史を学ぶ上で重要なターニングポイントですし、そこを授業で丹念にやるってのは間違ってない。しかも重要な上に<食いつき>も良いとなると、なおさらなのは重々理解しておるのですが、では近代以降は、となると、ほんと、流すだけなんですよ。あ、今は知らないよ。アタシらが子供の頃はね。
 大抵3学期の途中から、どこまで追えるかわからないけど、とにかく行けるところまで現代に近づきましょう、レベルで、とにかくざっくりと流すだけ。子供らもたいして興味がないのか、基本は退屈そうにしている。
 いや、それこそ太平洋戦争なんか、わりと関心が高いじゃないですか。でもこれも流した記憶しかなく、だから教師からいわゆる自虐史観を押し付けられた記憶もないんです。

 まァ、そういうのを押し付けるのはどうかと思うけど、アタシとしては「戦国時代とか幕末とかどうでもいいよ。それより近代史をもっと丹念にやってくれよ」とずっと思っていた。
 何故だかわからないけど、少なくとも江戸時代以前のことよりも明治以降のことの方が子供の頃からずっと興味が深かったし、とくに昭和史にかんしてはね、もっともっと知りたいという知的好奇心が強かったんです。アタシはね。

 ひとつ、その例を出してみましょう。
 あれは小学5年生の時だったかな、夏休みの宿題で自由研究ってのはどこの小学校でもいつの時代にもあると思いますが、アタシは「テレビの歴史」について調べようと思った。
 ここに「複眼単眼・テレビ」というエントリがありますが、もちろんこのエントリほど調べたわけじゃない。言っても小学生ですからね、模造紙をつなぎ合わせたデッカイ年表を作ったにすぎないし、その年表も今思えばざっくりしたものだった。
 それでも「ここまでちゃんと調べるとは思わなかった」って先生に言われるほどは詳細なもので、すでに小学生の時点でアタシは「日真名氏飛び出す」(黎明期のテレビドラマ)の原案として、高名な映画評論家の双葉十三郎がかかわっていた、とか知っていたのです。

 問題は何故自由研究のテーマとして「テレビ」を取り上げたかです。
 とにかくアタシは昭和史がやりたかった。たまたま手元にテレビの歴史を特集した「週刊TVガイド」があったので(もちろん好き好んで自分の小遣いで買ったもの)、ならばテレビが一番手っ取り早いな、と思ったからテレビを主題にしたまでです。
 では昭和史なら何でもいいかというと、そんなこともなくて、戦争のことや政治絡みのことにはたいして興味がない。それよりももっと文化的なことですね。それこそテレビとか映画とか音楽とか、ファッションや街の移り変わり、あとは事件や事故など、市井の人たちがどのように暮らしていたのか、どのようの出来事で人々は喜んだり恐れおののいたりしていたのか、に惹かれていたのです。

 さあ、長々とここまで書いてきましたが、アタシという人間のベースを先に説明しておかないとこれから書いていくことが通じない。
 今回の主題は東京です。厳密に言えば「何故そこまで東京に魅せられるか」なのですが、ただたんに「東京のが華やかだ」とか「東京の方がカッコいい」ってんならこんな文章は書きません。いや、それこそ今まで行った中で言えば、カッコよさや居心地の良さだけを取り出せば東京なんてロンドンには<はるかに>及ばない。そもそもアタシの生まれ故郷である神戸だって一般には「オシャレな街」で通っている。(ま、只今地盤沈下の真っ最中ですが)
 にしても、です。
 もし仮に、アタシがどれだけオシャレでカッコいい街と巡り合ったとしても、それでも「愛情の深さ」は東京には劣るに違いない。何故そうなるのか、それはつまり、先ほどまで書いてきたことと大いに関係があるわけで。

 先述の通り、東京なんて京都人からは「昨日今日の新興の街」と目される程度の歴史の浅い街です。ま、贔屓目に見ても江戸に幕府が構えられた17世紀から始まった程度で、そりゃあ千年単位の歴史を誇る京都から見ればたしかに「新興の街」かもしれない。
 しかし歴史が浅い分、発展の余地は大きかった。しかも盆地の京都と違って平野の東京は街の規模も無制限に広げられるから、人口増加への対応も、近代的な建築物を建てるのにも向いている。
 東京にも歴史的建造物はあるのですが、ほぼ近代以降に建てられたものってことになります。

 さて、今でこそアタシは戦前モダニズムに心を寄せてます。しかし、先ほどの話とも重複しますがその前は「1960年代マニア」であり「マイコンマニア」(高校まで)であり「事件マニア」(似非だけど)でもありました。
 では戦前モダニズムと1960年代の間の期間(1940~1950年代)だって興味がないわけがないし、さらに1980年代前半のマイコン華やかなりし頃の秋葉原にも興味があるし、これに各年代の大小の事件・事故を入れると、ほぼ昭和を網羅してしまうのです。
 もちろん事件・事故は東京に限ったことではありませんが、何故か、フシギと東京で起こったものが興味を惹きつけられる。東京だからって感じではなく、興味の強い事件・事故を選挙していったらたまたま東京に偏っていた、というか。

 というかね、これは京都との決定的な違いなんですが、キリがないんですよ。
 繰り返しになりますが京都の場合

「お、五条か。ここで弁慶と義経がやりあったのか」

 ま、所詮この程度のリアクションです。ところが東京になると俄然変わる。

「丸の内のオフィス街?といえば「くたばれ!無責任」のエンディングだよな!」

「田端?田端っちゃあ、田端操車場でしょ。で、田端操車場といえば当然下山事件だよね!」

「巣鴨は巣鴨撮影所だな!ってあれは西巣鴨というかほとんど板橋だけどね」

「ノンノン、ここはサンシャイン60じゃないよ。巣鴨プリズン跡だよ!」

「鍋屋横丁に住んでるの?ってことは光クラブだな!」


 もう、ホント、キリがない。京都(ま、京都に限らず大阪でもどこでも)が「ふーん、なるほどね」みたいなテンションだとするなら、東京はどこに行こうが「うわーっ、そうか。ここで○○が△△したんだ!」みたいなテンション爆上がりの場所ばっかりなんです。
 こんなだから、もう、どこに行こうが楽しい。住人にとって、はたまた東京に観光に訪れた大半の人にとっては「何の変哲もない」ただの街だったり、ただの通りだったりが、アタシには「あの、歴史の1ページを飾った○○という場所に、今、自分は立っているんだ!」というような感慨が押し寄せている。

 こんな街は、東京しかない。
 世界中にある、どれだけ風光明媚な場所も、心の底からリラックス出来る場所も「それはそれで素晴らしい」レベルになってしまう。ロンドンも湘南も大好きだけど、行く場所行く場所で心が揺さぶられるということはない。何というか、全体として好きなんです。
 でも東京は違う。つか<東京>という全体の地域名には、別に心は踊らない。でも個別のっていうか、ほぼすべての東京の細かい街単位で、移動する毎に脳内がタイムスリップする。

 Page2ではさらに具体的に、あくまでアタシが思う東京の魅力を書いていきます。

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