これねぇ、本当、今こうやって書き始めた段階ですら「こんなこと書かない方がいいんじゃないか」って気持ちが拭えなくてね、というのも「あらぬ誤解を生んだら取り返しがつかない」と思ってるもんで。
だからもう、最初に言わなきゃいけないことだけあらかじめ書いておく。
まず、これを読まれてるアナタ自身が「<うつ>かもしれない」と悩んでおり、何かの間違いでこのエントリにたどり着いてしまったとするなら、こんな駄文は読まないことをオススメします。いや<うつ>を批判的に書くわけじゃないし、読んだからって特別マイナスではないとは思うんだけど、だからま、要するにアタシが言いたいのは、こんな文章読んでる暇があったら今すぐお医者さんのところに行きなさい、と。
<うつ>は精神的な病気ではありません。精神的なことを起点にして発症することはあるんだけど、あくまで脳に何らかの問題が発生している。
だからちゃんと診察を受けることが一番の早道です。というかどんな心が洗われる素晴らしい名文を読んで救われた気がしても、それは一時的なことに過ぎない。つまり一旦小休止してるだけ。本当に何とかしたければ治療しかありません。
つか<うつ>の回復を民間療法に頼るなんて愚の骨頂で、これは<がん>を民間療法に頼るのと似ている。いやそんな人も皆無ではないと思うし、自分の強固な意志なら勝手にすればいいけど、間違っても人に勧めることではありませんからね。
アタシがこれから書きたいのは、発症したご当人ではなく、その近親者が、発症者にたいしてどういうふうに接していくべきなのか、それを書いていきたいのです。
ってテメエは医者でも専門家でもないだろ、と言われたらその通り。しかし何の偶然か、非常に多くの発症された人と接する機会があり、かなり濃密にかかわったこともある。それも複数人。しかもそのうちのひとりは身内です。
とは言えアタシ自身が<うつ>になったことはない。これが重要でね、そう考えればアタシが本当に<うつ>の人の気持ちがわかるかって言われると、たぶんわかってないと思うんですよ。
でも「近親者に発症した人がいる。どうしていいかわからない」という人の気持ちは痛いほど理解出来る。と同時に「こうした方がいい」と思うこともいっぱいある。
だからそれを書いていこうと。もしかしたらこの駄文で、発症したご当人ではなく、その近親者が救われることがあるかもしれない、そう信じて。
とは言えです。
もうすでに答えを書いてるようなものでして、大前提として
・当人を病院にかからせる
・民間療法はやらない
肝心なのはこの2点なのです。
実際、書店に行けば「<うつ>患者の近親者はどうするべきか」みたいな本もありますが、こういうのも読まない方がいい。って、そうなるとこの駄文も読まない方がよくなってしまうんだけど、ま、変な方向には誘導しないんで、是非最後まで読んでみてください。
わざわざこういうことを書いておかなきゃいけないのも、問題のある書籍が実に多いんですよ。
先ほども書きましたように、発症の原因はメンタルから来ることがほとんどです。そして脳に何らかの異常が起きてる以上、回復させるには医学的な治療が必要です。
しかし悪化させるのに医学的な何かが必要なわけではない。変な話、より病状を悪化させたければその人をもっとメンタル的に追い込めばいいんです。つまり身内というか近親者は「良い方向(回復)に持って行くことはほぼ不可能、だけれども悪い方向に持って行くことは簡単」なんですよ。
そうなったらです。どのみち良い方向に持っていけないのであれば、極端な話、何もしない、というのが最良の選択というのも余裕であり得る。ま、それは極端すぎるとしても、ここまで書けば「一番良くないのが過干渉」ということはわかってもらえるはずです。
そしてもうひとつ、これね、どうも抜け落ちやすいところなのでこれも大前提として書いておきます。
それは「人間ひとりひとり考え方も性格も違う」という当たり前すぎるくらい当たり前の話です。
先ほど近親者の身の振り方にかんする書籍について批判的に書きましたが、どの書籍を読んでも「いやそれ、絶対に嫌がるタイプの人がいるし、場合によっては余計に悪化させてしまうだろ」みたいなのが実に多いんですよ。
これは実体験としてある。とある発症された方のご兄弟が「家族の力で<うつ>を治す」だかなんだかの書籍を読んでその気になって、それを実行した結果、その発症された方の病状がさらに悪化し、ついに閉鎖病棟に入院する結果になってしまった。
つまりあきらかに「合ってない」やり方だった。しかし書籍に、さもそれが絶対的正解、みたいに書いてあると信じ込んでしまう人がいる。だからアタシはその手の書籍が害悪だと思っているんです。
かと言って、百人いれば百通りの性格があるわけで、個別に「こういう人にはこういう対処を」なんて全部書けるわけがない。というか<それ>をやるのが医者なんだから、そうであればそもそも書籍なんかいらないわけで。
というかね、近親者もひとりの人間なんですよ。そういう病気を発症した人がいれば「何とかしてあげたい」と考えるのが普通だし、何もやらなければ無用な罪悪感に襲われる。でもこれが「余計なこと」につながる。
それでも、と思われるなら、よろしい。罪悪感に襲われない、でも発症した人の負担にもならない「面倒の見方」をお教えしましょう。ズバリ
金銭的援助
です。
はいもうそれだけ。「話を聞いてあげる」とかそういうことをする時間があるのであれば、その時間も仕事に割り当ててその分を金銭という形で援助しましょう。
話?そんなの聞かなくていいよ。それはアナタのやることじゃない。
発症者がよほどの大富豪でもない限り、金銭問題は確実に回復の妨げになります。しかも発症して以降、働けなくなるケースも多い。つまりこれが二次ストレスになって回復を遅らせる。だから「何か、もし」となったら、金銭のことは心配いらないから、というのを示すしかないんです。いや本当に、近親者が唯一出来る有効な援助は金銭だけなんです。というか金銭的援助が出来ないのであれば「何もしない」のが最良です。(言うまでもないけど、一番最悪なのが「カネは出さないけど口を出す」ってことでして)
話を聞いてあげる、とか、正直ね、近親者の自己満足なんですよ。いやアタシも相談に乗ることはありますよ。でもひと通り話を聞き終わるといつも同じ答えを出す。「病院に行った方がいいよ」と。とにかく「継続的に」「定期的に」話を聞く、の言うのは<あえて>やらないようにしている。
さすがに「話を聞いて欲しい」という程度の関係性の人に金銭的援助は出来ない。出来るのはその前の段階、つまり「何はともあれ病院に行くように話を持って行く」くらいです。
さあ、それはそれでひとつ問題がある。それは
「実際問題、どこの病院にかかればいいの?」
というね。
実はこれがかなり難しい。アタシもね、精神科医に限らずいろんな医者を見てきたけど、あ、この医者は信用出来るな、と思った人はほんのひと握りしかいない。あとは何かしらの疑問が湧いてくるタイプで、(回復期に限ってですが)余計なことは言わずに黙って処方箋だけ書いてくれる医者がまだマシだと思うほどです。
じゃあ、その信頼出来る医者とやらをどうやって見つけるの?と聞かれるとさらに難しい。当たり前だけど居住地によっても違うし、ネットの口コミもアテにならない。さらに言えば、やっぱり「合う合わない」の問題もある。どれだけ評判の良い医者でも患者との相性が悪ければ、やはり回復は遅れます。
もし、多少でも時間的猶予があるのであれば、それこそ血眼になって「良い病院」を探してあげてください。それが金銭以外に出来る唯一の援助です。
当たり前だけど「ネットで調べただけ」なんて論外です。昔の刑事じゃないけど、もう「足を使って調査する」しかない。徹底的に調べに調べて、その中からもっとも「まとも」と思える病院を選択する。んで当人がかかる前に最低一度は病院を訪れて相談してみる。
あ、この際、その病院が「心療内科」なのか「精神科」なのかはどっちでもいいです。というか一般には心療内科の方がハードルが低いと言われているけど、経験上で言えば精神科の医者の方が信用出来るケースの方が多かったので、もうそこはどっちでもいい。とにかくアナタが一番信用出来る医者に見せることを優先させてください。
良い医者悪い医者、なんて簡単に言うけど、これを見分けるのも難しいんですよ。ただひとつだけ、アタシは見分ける方法を知ってます。
アタシがネガティブな感情を持つ医者は必ずこういうことを言いたがる。
「それは気持ちの問題だよ」
もうそのひと言で、あ、この医者ダメだと判断する。ってもしかしたら「そんな医者いないだろ」と思う人がいるかもしれないけど、これね、本当に多いんですよ。もうそこかしこにいる。
逆にアタシがポジティブな感情を持った医者は揃いも揃ってこういうふうに言う。
「気持ちの問題というのは簡単。でもそれは医者が絶対口に出してはいけない言葉。では何故そんな気持ちになるのか、それを(患者と)一緒に探していくのが医者の役目」
初めてこういうことを聞いた時、あ、これが本物の医者だ、と思った。つか逆に言えば「気持ちの問題」で片付けようとする医者はニセモノだと。
いやね、これ、他の病気であれば患者自身が「この医者ニセモノだな」みたいな判断は出来るんですよ。でもここが<うつ>患者の厄介なところで、そういう判断力が鈍ってる。で、気持ちの問題、と言われたことでさらに自分を追い込み・・・なんてことになってしまう。
そうならないためにも、とにかく病院選びは大事なんです。
よし、ま、ここならいいだろ、という病院が見つかった、という体で話を進めます。
ところがです。大変なのはここからなんですよ。
中にはすんなり「じゃその病院に行く」という人もいるかもしれない。でもやっぱ、それってかなり少数派だと思う。つか「最初は病院に行くこと自体を渋るのがデフォ」と考えておいた方がいい。
つかね、自らの意思で心療内科や精神科に通おうと思う人って相当軽度なんですよ。だから処方された薬を飲んで逆に変な気持ちになって、みたいなことはネットでもいっぱい書かれている。だからそういうのは多少のメンタル不調くらいで<うつ>とは違うと思っています。
逆に本当に<うつ>の疑いの濃い人は病院にかかりたがらない。つかものすごく嫌がるケースが多かった。理由は様々で、<答え>を突き付けられるのが怖いのか、プライドの問題なのか、それとも極度の医者嫌いなのか、どちらにせよなかなかすんなりとは行ってくれない。
じゃあどうする?無理矢理手を引っ張って連れて行く?まさか。
アタシなら「あ、そう。ま、気が向いたら言っておいで」と言う。「行っておいで」ではなく「(自分に)言っておいで」です。
え?そんなんで大丈夫かよ、と思われるかもしれませんが、本当に<うつ>なのであれば、ものすごく感情の波があるんですよ。んで間違いなく「病院に行って回復したい」となるタイミングがある。その時を待つしかない。で、向こうから「病院の件なんだけど」と言ってきたら、多少の用事を飛ばしてでも「よし、じゃあ今から行くか」とすぐに対処する。ちょっとでも時間を置いたらまた波が去るからね。
ただ、この「待つ」というのが出来ない人もいるんですよ。つい「なんだ、お前のためを思って良い病院を探してきてやったのに!」と思ったりしちゃう。思うくらいならまだいいけど、口に出したりしたら最悪です。今までの苦労が全部水の泡です。
だからどれだけ言いたいことがあっても我慢する。んで断ってきても「あ、そう」で済ませる。もし済ませる自信がないんであれば、たとえ血縁者であっても今すぐこの件から身を引いた方が身のためです。アナタも含めて全員が不幸になります。もし自分が身を引いたら誰もいないなら、死ぬ気で「あ、そう」で済ませてください。
そんな感じでPage2に続く。
