今回のお題は「ファンダム」ですが、そうなるとどうしても避けて通れないのがJリーグ、いやクラブ、いやサポーターです。

 もうどこまで本当かわからないほど、Jリーグサポーターの醜聞が溢れており、これらの話を聞く限り、プロ野球ファン、もっと言えばもっとも粗暴と言われやすい阪神ファンの比ではない。
 とくに酷いと思われるのは「新規サポーター」「ライトサポーター」にたいする古参サポーターの態度で、アタシも長年阪神贔屓をやってるし、数え切れないほど球場に足を運んだけど、こういうのはただの一度も見たことがない。
 さらにプロ野球ファンからしたら信じられないのは、試合に負けた時、選手が整列してサポーターに「謝罪する」というのが常態化してる、ということです。
 プロ野球だって試合に負けても「挨拶」することはあるんですよ。でもそれは「応援してくれてありがとうございます」の「挨拶」、つまりは感謝の気持ちの表明であって<謝罪>ではない。
 Jリーグの場合、さらに酷い場合になると、選手ひとりひとりに謝罪させるってんだから、もう正直、なんじゃこりゃ、としか言いようがないし、はっきり言えばかなり気持ち悪い。
 サッカーというスポーツは面白いし、アタシも好きです。でもこんなことが常態化したJリーグなんか見たいとも思わない。つか自分たちがやってることが新規ファンの流入を遠ざけ、ひいてはクラブの運営を圧迫する要因になってるって何で気づかないんだろ。本当に不思議でしょうがない。

 ここがプロ野球との違いなんです。
 もしかしたらJリーグサポーターから「そんなのプロ野球も一緒だろ」と言われるかもしれないけど、少なくともプロ野球は儲かってる。何故儲かってるか、それは新規ファンが増えてるからに他なりません。
 いくら粗暴と思われようが実態が違うのは数字が証明している。どんな調査でももう甲子園のキャパシティが限界なのにもかかわらず阪神ファンは年々増えてるし、実際もはや「甲子園で試合を観たい」と思っても、たとえば2026年度であればこの記事でもわかるように、あまりにもチケットが取れなくて現実的でさえなくなってます。こんなことコロナパンデミックの前まではなかったのに。
 何故新規ファンが増えてるか、それはもちろん誰も新規ファンを排除してないからです。球団は当然のことながら古参ファンも、そりゃ<ニワカ>ファンには苦々しくは思ってるかもしれないけど、少なくとも排除はしていない。
 事実、阪神ファンのパイはここ数年で急激に広がった。そしてその恩恵で羽振りが良くなり、選手にとっても理想的な環境に近づきつつあります。

 これ、逆に言えば「ファンダムの横暴」はパイを狭める行為で、もしかしたら「自分たちが支えている」と思ってるのかもしれないけど、真逆、つまり自分たちがその対象の首を絞めているのです。
 こうした自分たちが支えている→首を絞めている、というのって、もうアンチダムとまったく同じなんですよ。彼らは自分たちの行動が正義だと思っている。つまりなかば世直し気分でやってるのかもしれないけど、実際は「インターネットの規制強化につながるだけ」=何も言えなくなる世の中を作り出してるだけなんです。
 しかし彼らはなかなかそのことに気づけない。自分たちは正しい行動をしてる、という観念から抜け出せない。本当はアンチダムと限りなく似た、ただ対象者の首を絞めてるだけなのに、それを認めたくない、という心理が強すぎて冷静に「周りからどう思われているか」の判断が出来ないのです。

 アタシは何度も言ってるように、行動、いや言動に正しいも正しくないもないと思っていて、同時に「こちらが正しければ何をしても構わない」という考えこそがもっとも危険な考え方だと思っています。
 ウチは政治の話を書かないポリシーなので簡単にしか書かないけど、仮に独裁政権であっても独裁者が「こちらが正しければ何をしても構わない」という思想を持ってなければ問題になりづらい。で、その逆は、言わなくてもわかる話です。
 つまりですよ、ファンダムというのは「特定個人ではなく一定数の同じ思想を持つ人たちによる独裁」なんですよ。
 ここで重要なのは、あくまで「一定数の」であって「大多数の」ではない。いやもし大多数のであればやはり問題になりづらい。でも大多数=マジョリティは別の考えなのに一定数=マイノリティが独裁的思想で全体を牛耳ろうとする。
 これが正しいか正しくないかもどうでもいい。しかし間違いなく「民主的ではない」わけですよ。
 もうこの辺に決定的な断絶を感じる。Jリーグサポーターも、旧ジャニオタも、撮り鉄も、あまりにも「自分たちが思う正しい言動」に振り回されすぎなんです。
 そして何より、正しいか否かが優先されすぎて、彼ら自身が楽しんでないように思う。つか彼らから「好きなものを愛でる楽しさ」みたいな空気がまったくない。むしろ「(自分が思う)正しくないものにたいして攻撃的になってる現状への楽しさ」さえ感じる。
 そういう人たちが蔓延る界隈は間違いなく衰退します。いやそんな界隈に「自分も参加したい」と思うか?アタシなら絶対、どれだけカネを積まれても嫌だわ。

 ・・・というのがファンダムの正体だとは思うのですが、では<熱狂的ファン>をファンダム化させないために、主催側は何をやらなきゃいけないのか、それについても考えてみたい。
 Page2でも書いたように、ユーチューバーがまずやらなきゃいけないのは「ユルめのファンを多く増やす」ことではなく「たとえひとりからでもいいから熱狂的なファンをつける」ことです。
 これは飲食店に置き換えるとわかりやすい。別に美味くも不味くもない、万人向けだが特徴のない飲食店はまず流行りません。個人経営の飲食店の場合、ましてや競合店舗が軒を連ねる場合はそれでは勝負にならない。要するに「早晩潰れる」ことを意味します。
 それよりも、9割の客が「マッズ!」と思っても1割の客が「なにこれ、めちゃくちゃうめーっ!」ってなる店舗の方が長続きする。1割の客は確実にリピーターになってくれるからです。
 1割の人に刺さる味なのであれば、日本国内に潜在顧客は1000万人いるってことになるので、知名度が上がれば上がるほど儲かる。わかりやすい理屈です。

 ただし、この「1割の人に刺さる」味を作り出すのが難しい。
 YouTubeだって同じで、どうしても「よくある味わい」になってしまう。既存の人気チャンネルに寄せてしまって没個性になるというか「このチャンネルでなければいけない」という意味が薄らぐ。つまり個性を出すのが非常に困難なんですよ。
 しかも小手先だけであったり突飛なものはすぐに飽きられる。ラーメン屋で言えば「トッピングにフルーツ盛り合わせ」とかやっても所詮は物珍しさでしかない。もちろん最初から売り抜けるって発想でやるなら構わないけど、絶対に定着した人気にはなりません。
 あくまで人々が「それもアリやな」と思える程度の常識的な範囲で、それでいて個性を出す。これが難しくないわけがないのです。
 アタシが面白いと思うYouTubeチャンネルはみな方針が明確なんです。少なくとも「これは(どれだけ再生数が回ろうとも)やらない」というのがはっきりしている。つまり風見鶏的ではない。
 風見鶏的なチャンネルには熱狂的ファンはつかない。方針のしっかりしたチャンネルでさえあれば熱狂的ファンがつくってほど単純なものではないけど、方針をはっきりさせるというのは熱狂的ファンを生み出す必要条件なんです。

 <熱狂的>となった人は、飲食店で言えばフルーツ盛り合わせトッピングのような奇抜さに惹かれたわけではなく、本当に味に惹かれた人たちなのでリピーターとなり、さらに熱狂度を帯びてくる。そして、ま、そこからはかなり地道にはなってくるんだけど、徐々に熱狂的ファンが増えてくるという良いスパイラルに入っていきます。
 さあ、問題はここからです。
 一定数の熱狂的ファンを抱えるようになって、ではそのユーチューバーがどのように運営していくか、この段階で熱狂的ファンがファンダム化するかどうかが決まる。いわば分岐点なのです。
 ここで失敗すると、たとえ数は少なくても熱狂的ファンはファンダム化し、つまりはそのチャンネルは遠からず衰退する。だから必死で「ファンダム化させないための策」を練らなければいけないのです。
 まず、非常に重要なことは「間違ってもファンを煽動するような言動をとってはいけない」ということです。
 これはファンミーティングのようなリアルイベントでもそうで、どうせファンしかいないんだからとタガをユルめてしまうと痛い目に遭う。むしろファンミーティングのような場でこそ自重が求められる。
 そして、古参ファンに新規流入者を拒む者が現れたら、必ず新規ファンの肩を持つことです。別に古参ファンを大事にするなと言ってるんじゃない。古参ファンだってそのチャンネルのことは大事に思ってるはずだから排除する必要はない。でもはっきりと「新規流入者がなければ衰退する一方」というのはわかってもらわなければ、もう名前は出さないけどアレとかアレの二の舞になるだけです。

 そして、何より大事なことは、ファンダム化したような人も、もしかしたらもともとそういう素養を持っていたかもしれないけど、それでも大半の人は「普通の人たち」なのですよ。
 だから変な話、もし熱狂的ファン全員がファンダム化する素養のない人たちであれば運営側は何も考える必要はない。しかしそんなの、ある程度の<数>が集まる上では理想論でしかない。そして、そのうちそんな素養もないのにファンダム素養のある人に感化されてファンダム化する人たちも出てくる。
 アタシが思うのは、一部ファンの先鋭化=ファンダム化は数が多くなればなるほど避けられないと思っている。しかし狭いコミュニティの中でさらにマイノリティな存在としてでしかファンダムがいれないのであれば、最低でも「普通の」「新規流入者」のファンダム化は防げる。
 蒸し返すみたいだけど、ココでも書いたようにファン同士でちゃんと自浄作用が働けば、先鋭化は抑えることが出来る。逆に言えば、問題提起するべき立場の人が問題を矮小化し、自分の言動を正当化しようとすると、素養のない人まで感化されて(この界隈ではこれが当然なんだという誤った考えを植え付けられて)ファンダムはどんどん増えてしまうわけで。

 ここまで頑張って書いてきましたが、やはり、事前の予想通り、あまりにも根深い問題が多すぎて、こんな駄文では到底書ききれませんでした。
 それではあまりにも無責任すぎるので、最後にこれだけは言っておきます。

♪ カネさえあれェばこの世ではァ 思いの叶わぬことはない~

 いや要するに「自分が好きなものが、カネ回りが悪くなるようなことだけはすんなよ」と。






テーマがテーマなので、どうしてもマジメっていうか重くなりそうだったので、なるべく<らしい>エントリにしようとは努めたつもりです。
と言うかナンシー関についてちゃんと書いたの初めてだったね。いやいずれ書きたいと思ってたからちょうど良かった。




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